Wフェミナクリニック(婦人科)|性成熟期

性成熟期MATURITY

環境にもカラダにも、
大きな変化がおこる時期です

成熟期とはだいたい18才から40才代の、女性が性的にもっとも成熟する時期。一生のうちで、女性ホルモンの分泌が安定し、生理も順調で、肉体的には妊娠・出産に適した時期といえます。30代半ばをすぎると、徐々に卵巣の老化が進んでいきます。この時期は、大きく分けて18~37才の前期と、37~45才の後期の二つの時期があります

  • カラダの変化

    18才~37才にあたる前期は、生殖能力の高まる時期です。

    妊娠、出産を経験した女性は、この時期に経験することがほとんどです。心身ともに充実する時期なのですが、ホルモンのバランスはストレスや不規則な生活で簡単に崩れることがありますので注意も必要です。特に気にして頂きたいのは、性成熟期前期には「月経がきちんときているかどうか」が重要なポイントになります。排卵・月経が規則正しくあることは、女性のヘルスケアには欠かせないことです。月経に関する症状(月経困難症やPMSなど)で、学校や仕事に影響が及んでしまっている場合も、しかたがないと諦めないでお気軽にご相談にお越しください。また結婚までにパートナーがかわることもあります。性感染症の予防や避妊もしっかり行うように心がけてください。

    37~45才の後期は エストロゲンの分泌量が減少します。

    成熟期後半は、会社では責任ある仕事を任されるようになったり、仕事と子育ての両立など、何かと慌ただしくも充実している時期になると思います。ただし、女性としての機能は30代後半頃から徐々に低下しだし、お肌にシミ・しわができてきたり、髪から艶やかさが消え白髪が目立つようになってきます。今までは女性ホルモン・エストロゲンが様々な病気から身体を守ってくれていましたが、 成熟期後半に入るとエストロゲンの分泌量が徐々に減り出し、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病や、子宮体癌、乳がんなどのリスクが少しずつ上がって いきます。こちらも、早期発見につなげるために、症状がなくても定期的に検診を受けることを強くおすすめします。

  • ココロ

    成熟期は、結婚、出産、子育てと、人生の大きなできごとをむかえる時期。同時に、仕事など社会的にさまざまな責任を果たさなければいけない時期にもあたります。どれも大切なことだからと、がんばり過ぎる人が多く、ストレスからくる身体の症状も多くなります。がんばることも大切ですが、ストレスをため過ぎないように、気分転換をすることも大切です。

性成熟期によくあるお悩みと症状

STD(性感染症)

  • カンジダ膣炎

    カンジダ属の真菌(カビの一種)によっておきる病気です。とくに風邪をひいたり、抗生剤を内服したときに免疫力が低下していると菌が増殖します。デリケートゾーンや膣に強いかゆみが出ます。おりものが増え、白いカス状やクリーム状になります。性器が赤く炎症をおこすこともあります。

    治療方法抗真菌剤の膣錠の膣内挿入、外用薬
  • クラミジア

    クラミジア・トラコマティスという微生物が原因でおきる病気です。セックスだけでなくオーラルセックスによってノドの粘膜に感染することもあります。また、卵管炎をおこしてしまうと不妊症の原因となることもあります。無症状のことが多くなかなか気づけないこともありますし、腹痛・排尿痛があることも。おりものが増え、進行して腹膜炎をおこすと腹痛・発熱も症状として出てきます。のどに感染し、咽頭炎、扁挑炎をおこすこともあります。片方が治療しても、もう片方が感染しているとお互いにうつし合い続ける「ピンポン感染」が問題です。必ずパートナーご一緒に治療することが大切です。

    治療方法抗生物質
  • トリコモナス膣炎

    トリコモナス原虫が寄生することによっておこる膣炎です。タオルや浴室から家族にうつってしまうことがあります。黄色や血液のまじったおりものや、泡がまじったおりものが出ることも。デリケートゾーンにかゆみや痛みがあります。

    治療方法抗トリコモナス剤の服用と膣錠の併用
  • 性器ヘルペス

    単純ヘルペスウイルスに感染しておこり、一度感染すると、治ったあともウイルスが潜伏し、月経時や体力が低下しているときに再発を繰り返します。初感染はデリケートゾーンに3~7日間軽いかゆみがおこり、のちに痛みのある水疱ができます。水疱がつぶれると排尿時に激しく痛みます。

    治療方法鎮痛剤、消炎剤の軟膏の塗布、抗ウイルス剤(内服液・注射・軟膏)
  • 尖圭コンジローマ

    ヒューマンパピローマウイルス(HPV)の感染によっておきます(主にHPV6、11型が原因)。セックスやそれに類似する行為により感染します。潜伏期間が長いうえ、感染後1ヵ月~半年たってから症状が出ることも多く、いつ感染したのかわからないことがあります。このウイルスの仲間に、子宮頸がんの原因になるもの(主にHPV16、18型等)があります。最初は膣口や小陰唇、肛門付近にイボができます。その範囲が広がると排尿痛、性交痛などを伴うこともあり、かゆみや灼熱[しゃくねつ]感があります。5%ベセルナクリーム、10%ポドフィリンアルコールを塗布します。治らない場合は、電気メスやレーザーでイボを切除したり、漢方でイボをとる方法もあります。

    予防方法原因ウイルスであるヒトパピローマウイルス(HPV)の予防ワクチン(ガーダシル、シルガード9)で感染を予防することができます。
  • 淋病

    性行為で淋菌に感染することでおこります。おりものが増えたり、排尿痛があったり、デリケートゾーンがかゆくなったりします。

    治療方法抗生物質
  • 梅毒

    トレポネーマ・パリダムという微生物の感染によっておこり、感染力が高いもののひとつ。セックスで感染し、長い期間をかけて全身に症状が進行するのも特徴です。初期はほぼ無症状。大陰唇、小陰唇、膣口付近のデリケートゾーンに小さなしこりができ、そけい部(下腹部のうち、足のつけ根の部分)のリンパ節がはれ、それが自然に消えたあと、バラ色の発疹が出ます。とはいえこれもまた自然に消えるので気づかないことが多く、血液検査で診断されます。

    治療方法抗生物質
  • HIV感染症/エイズ

    HIV(ヒト免疫不全ウイルス)が免疫細胞に感染、増殖して免疫力が低下する病気です。血液、精液、膣分泌液、母乳などが感染源であり、進行すると死に至ることもあります。感染後2週間ほどで、風邪のような症状が出ます。5~10年ほど症状がなく、カリニ肺炎、カンジダ症などの合併症がおき、エイズが発症します。エイズ発症後は免疫力がなくなり、さまざまな病気で死に至ることもあります。

    治療方法抗HIV薬でHIV-RNA量を下げます。

不正出血

不正出血とは、生理(月経)でもないのに、膣や子宮、外陰部などから出血することです。
ホルモンバランスがくずれている、あるいは病気が原因になっていることもあります。
自己判断は危険なので、なるべく早めに婦人科へ相談しましょう。

  • 器質性出血

    子宮頸がん、子宮体がん、子宮筋腫、子宮内膜炎、膣炎(→「女性特有の病気」の項で紹介)など、子宮や膣などの病気によっておこる出血で、これを器質性出血といいます。

  • 機能性出血

    ホルモンバランスがくずれたためにおこる出血で、これを機能性出血といいます。ホルモンバランスが安定しない思春期や更年期のころにもよくみられます。ダラダラと出血が続く無排卵月経や、生理前に少量の出血が続く黄体機能不全(→「基礎体温」の項で紹介)などがあり、脳下垂体や卵巣など、ホルモンの分泌に関係している器官の働きが落ちているなどのトラブルが考えられます。

  • 中間期出血

    排卵期に、卵胞ホルモンの分泌が一時的に低下するためにおこる出血で、機能性出血のひとつ。中間期出血自体は生理的なことで病気ではありませんが、気になるときは基礎体温をつけてみましょう。ちょうど排卵のころにいつも出血するなら、ほぼ中間期出血でそれほど心配する必要はありません。ただし1週間も出血が続いたり、生理と同じくらい出血がある場合は、婦人科で相談することをおすすめします。

その他

  • 子宮内膜症

    子宮内膜症というのは、子宮内膜様の組織が子宮内膜以外の場所に成育してしまう病気です。子宮の筋層内にできたものを子宮腺筋症、卵巣のなかに血液がたまって血腫になったものはチョコレートのう胞といいます。卵巣内に子宮内膜症ができると、生理の度に少しずつ血液がたまり、卵巣は肥大し、ドロドロになります。その状態がチョコレートに似ていることから「チョコレートのう胞」と呼ばれます。こののう胞があると、不妊の原因になるばかりか、大きくなって破裂すると吐き気、激しい下腹部痛に襲われたり、高齢になって癌化することもあります。どこに発生しても、子宮の内膜と同様、生理周期(月経周期)に合わせて、発育と出血を繰り返します。しかし、通常の経血のように出口がないために血腫となったり、まわりの器官を癒着させ激痛がおきたりするのです。20~30代の女性に多くみられます。

    子宮内膜症のおもな症状

    以前よりも生理痛が強くなった 生理のとき以外にも出血がある 生理時以外でも下腹部が痛む 性交痛がある 経血量が多く、夜用のナプキンを重ねても下着が汚れたり、タンポンとナプキンを併用しても間に合わないほど多い 排便時に肛門が痛むことが多い 生理をはさんで、前後1週間ずつくらいの間、おなかが張る 経血にレバー状のかたまりが混じる 赤ちゃんが欲しいのに妊娠しない

  • 子宮筋腫

    子宮筋腫は、子宮に良性のこぶ状のかたまりができる病気で、成人女性の4~5人にひとりがなるといわれるほど身近な病気です。なぜ筋腫ができるのかは、まだはっきりとわかってはいませんが、2種類の女性ホルモンのうちの卵胞ホルモン(エストロゲン)が筋腫を大きくすることに関係しています。なぜ筋腫ができるのかは、まだはっきりとわかってはいませんが、2種類の女性ホルモンのうちの卵胞ホルモン(エストロゲン)が筋腫を大きくすることに関係しています。

    子宮筋腫のおもな症状

    経血量が多く、夜用のナプキンを重ねても下着が汚れたり、タンポンとナプキンを併用しても間に合わないほど多い 下腹部がはってきた 排尿、排便時に痛みを感じる 経血にレバー状のかたまりが混じる 頻尿、尿が出づらい、便秘などの症状がある 生理のとき以外にも出血がある 腰痛が続いている めまい、たちくらみ、だるさなど貧血の症状がある 赤ちゃんが欲しいのに妊娠しない、流産してしまう

  • 子宮がん

    女性特有の病気のひとつ「子宮がん」には、「子宮頸がん」と「子宮体がん」のふたつあることをご存知ですか?
    それぞれがんが発生する場所や発症しやすい年齢、検査方法が異なりますが、年々増加傾向にあることは共通しています。

    「子宮頸がん」の初期はほとんど症状がありませんが、セックスの経験がある人ならだれでも発症リスクのあるがんで、20~30代の女性に一番多いがんです。「まだ若いから」と油断せず、定期的な検査を受けるようにしましょう。子宮頸がんができる場所は、子宮の入口のため検査も簡単で、早期発見が可能です。がんになる前段階の「子宮頸部異形成」という状態で見つかることもあるため、その点からも定期的な検診が有効です。一方「子宮体がん」ですが、こちらは子宮頸がんとは異なり、初期の段階で9割の人に不正出血など分かりやすい症状があります。不正出血があったときは、念のため婦人科でチェックするようにしましょう。