年齢を重ねるにつれて、肌の悩みが増えてくると感じる人は少なくありません。美容医療の進化により、エイジングケアを求める多くの人々が効果的な施術を受けられるようになりました。近年、特に注目を集めているのが「水光注射」と「マイクロボトックス」です。

名前を聞いただけでは効果が分かりにくく、どのような施術か気になる方もいるのではないでしょうか。この記事では、水光注射×マイクロボトックスについて解説します。水光注射とボトックスの違いや期待できる効果、メリットとデメリットや施術後のケアについても詳しく説明します。

水光注射とボトックスは違う?

水光注射とボトックスという言葉を耳にしても、具体的な違いを把握できている方は少ないのではないでしょうか。それぞれ効果が異なり、適用される施術の目的や方法も異なります。以下で、水光注射とボトックスの特徴について詳しく見ていきましょう。

ボトックスとは

ボトックスとは、ボツリヌス菌由来のタンパク質である「ボツリヌス・トキシン」を使用した美容治療です。ボツリヌス・トキシンには一時的に筋肉を麻痺させる働きがあり、美容医療ではシワや小顔効果を得るために使用されています。また、額や目尻、眉間など表情によってできやすいシワにも有効です。

ボトックス治療はメスを使わないためダウンタイムが少なく、手軽に行える点も人気の理由です。施術後2〜3日で効果が現れ始め、3〜4ヶ月間効果が持続します。施術を重ねるとシワができにくい肌質へと変化していくため、長期的なエイジングケアにも役立ちます。

水光注射とは

水光注射は、肌の若返りや肌質の向上のために真皮の浅い層へ美肌効果の高い薬剤をダイレクトに注入する方法です。微細な針を用いて薬剤を広範囲にわたり注入することで、肌の再生力が促進され、肌質改善が期待されます。

施術後の肌はみずみずしく弾力のある質感が得られるため、乾燥やくすみ、シワなど多岐にわたる肌トラブルに同時に対応できます。

水光注射は、健康的で若々しい外見を長期的に維持するために有効で、エイジングケアとしても人気です。一般的な注射とは異なり、針が肌の浅い層に刺さるだけなので、ダウンタイムが短いことも特徴です。

水光注射でボトックスを注入できる?

水光注射の施術では、通常はヒアルロン酸やビタミンなどが注入されます。近年ではボトックスを水光注射のように浅い層に注入する「マイクロボトックス」という手法も登場しました。ここでは、マイクロボトックスと水光注射について詳しく解説していきます。

マイクロボトックスとは?

マイクロボトックスは、ボツリヌス・トキシンを皮膚の広範囲に浅く注入する施術法です。この方法では、ボトックスを肌の浅い層に少量ずつ分散させて注入します。そのため、表情筋全体に強い影響を与えず、自然な仕上がりを保てる点が魅力です。

肌の表面にある細かい線維の働きを弱めることで、小じわの改善や肌の質感が滑らかになり、毛穴も引き締まります。エイジングケアとしても人気があり、特に肌のたるみや毛穴が気になる方に適しています。皮脂や汗の分泌も抑えられるため、化粧崩れしにくい肌質になりやすく、脂性肌の方にもおすすめです。

スキンボトックスと通常のボトックスの違い

通常のボトックスは、表情筋に直接注射して筋肉を弛緩させ、シワを目立たなくする施術です。深いシワに対して高い効果を発揮しますが、効果を得るためには筋肉に影響を与えなければいけません。そして、弛緩させる筋肉部位が限られるため、顔全体への応用には限界があります。

一方、スキンボトックスは皮膚の浅い層に微量ずつ細かく注入し、皮膚の表面にある線維に働きかける方法です。表情筋への影響を最小限に抑えながらシワを改善でき、より自然な仕上がりが実現します。毛穴の引き締めや肌のハリ・ツヤの向上、汗・皮脂分泌の抑制など、美容面での総合的な肌質改善に役立ちます。

水光注射×マイクロボトックスに期待できる効果

水光注射とマイクロボトックスを組み合わせた施術には、さまざまな効果が期待できます。水光注射×マイクロボトックスに期待できる効果は以下のとおりです。

  • 皮脂抑制とニキビ肌改善
  • 開いた毛穴の収縮
  • 自然な表情のキープ
  • たるみ改善

それぞれみていきましょう。

皮脂抑制とニキビ肌改善

水光注射とマイクロボトックスの組み合わせにより、ボツリヌス・トキシンを汗腺や皮脂腺のある真皮層に注入できます。それにより、汗や皮脂の分泌を抑えることが可能です。ボトックス成分がアセチルコリンを抑制し、汗腺や皮脂腺の活動を弱めるためです。

皮脂の過剰分泌により毛穴が詰まり、アクネ菌が増殖すると炎症を起こしてニキビが発生します。汗や皮脂が抑えられることで、メイク崩れも予防できるため、清潔な肌を保つのにも役立ちます。

開いた毛穴の収縮

水光注射×マイクロボトックスにより、毛穴が引き締まり、美肌効果が得られます。なぜなら、ボツリヌス・トキシンを表情筋の表面に細かく注入することで、汗や皮脂の過剰な分泌を抑えるからです。そして、毛穴や汗腺が萎縮して引き締まり、美肌効果が得られます。

これにより、微小な筋肉の動きを抑えることで皮膚表面が滑らかになります。毛穴の開きが目立ちにくくなるため、毛穴のケアをしっかりと行いたい方にとって有効です。

自然な表情のキープ

ボツリヌス・トキシンを肌の浅いところから表情筋の表面に少量ずつ注入することで、目元や口元の小じわを自然に改善できます。瞼が重くなったり、表情に影響が出たりしないよう工夫されているため、普段の顔の動きには支障がありません。

特に、目尻や眉の上などは、乾燥や日常的な動きによってシワができやすい部位です。水光注射とマイクロボトックスの組み合わせはこうした部位に適しています。自然な表情を維持しつつ、若々しい印象をキープしたい方におすすめの施術です。

たるみ改善

水光注射とマイクロボトックスの組み合わせは、軽度のたるみの改善が期待できます。なぜなら、ボツリヌス・トキシンが真皮層に注入されることで、真皮層と接する表情筋の表面にある筋膜に作用するからです。

マイクロボトックスの作用により、筋肉の動きを抑制しないまま皮膚が引き締められます。そのため、自然な表情を残しながらリフトアップできます。また、真皮層に微細な刺激を与えることで、肌のハリや弾力の回復が可能です。

水光注射×マイクロボトックスのメリットとデメリット

水光注射×マイクロボトックスには、メリットとデメリットがそれぞれ存在します。メリット・デメリットから自身に適した施術かどうかを判断するための参考にしてください。

メリット

水光注射とマイクロボトックスを組み合わせるメリットは以下のとおりです。

  • 自然な表情を保ちながら効果が得られる
  • 痛みが少ない
  • ダウンタイムがほとんどない
  • 繰り返しの施術で高い効果が得られる
  • 他の美容成分と同時に施術可能

自然な表情を維持しながら、美容効果を得られるのが大きなメリットです。施術中の痛みも少なく、ダウンタイムがほとんどないため、施術後すぐに日常生活に復帰できます。他の美容成分と組み合わせることで、総合的な美肌効果が得られます。

デメリット

水光注射とマイクロボトックスを組み合わせるデメリットは以下のとおりです。

  • 即効性がない
  • 効果が永久に続くわけではない
  • 深いシワやたるみには効果が薄い

効果の実感には時間がかかるため、即効性を期待する方には不向きです。また、ボトックス効果が数ヶ月で切れるため、定期的に施術を行う必要があります。深いシワや強いたるみには改善効果が薄く、こうした悩みを抱える方には他の治療法も検討することが必要です。

水光注射×マイクロボトックスの効果の現れる時期・持続期間・施術頻度

水光注射とマイクロボトックスの組み合わせで効果が現れる時期と持続期間、施術頻度について以下にまとめました。

効果の現れる時期

施術から1~2週間後

持続期間

ピークは3~4ヶ月(永久には維持されない)

施術頻度

4~9ヶ月ごとに施術を受けることで効果を維持可能(個人差あり)

回数を重ねることで効果が実感しやすくなり、持続期間も徐々に長くなる傾向にあります。効果を維持するためには、定期的な施術が推奨されます。

水光注射×マイクロボトックスの痛み

水光注射によるマイクロボトックスの注入は、微細な針を使用して繰り返し行います。わずかな痛みがあることから、表面麻酔や局所麻酔を使用するのがおすすめです。施術は意識のある状態で行われるため、緊張がある場合は笑気麻酔を併用することも可能です。

術後1〜2時間は麻酔の効果で皮膚感覚が鈍く、通常は大きな痛みを感じることはありません。ただし、強い麻酔は体への負担があるため、施術前に医師と相談して麻酔の種類を選ぶと良いでしょう。

水光注射×マイクロボトックスのダウンタイム

水光注射×マイクロボトックスの施術後には、短期間のダウンタイムが発生することがあります。ここからは、どのような症状が現れ、ダウンタイムがどれくらい続くのかについて解説します。

水光注射×マイクロボトックスのダウンタイムの症状

施術部位には一時的に赤み、腫れ、痛みが生じることがあります。赤みや腫れは数時間から数日で収まるため、日常生活への影響は最小限で抑えられるケースがほとんどです。

稀に内出血が見られる場合もありますが、ほとんどの場合はファンデーションやコンシーラーで隠せる程度です。内出血が発生した場合も、1〜2週間程度で自然に消退するケースが多いです。多くの症状は自然と消えていくため、安静にしてダウンタイムを過ごしましょう。

水光注射×マイクロボトックスのダウンタイムの期間・経過

ダウンタイム期間は最大で2〜3週間です。ダウンタイム中の具体的な経過は以下のとおりです。

時期

経過内容

当日

赤み・腫れ・痛みは数時間で落ち着く

注射痕は数日で消滅

翌日

24時間経過後からメイクが可能

1~2週間

効果が徐々に現れる

内出血がある場合は少しずつ消えていく

2~3週間

違和感が徐々に解消される

施術部位の状態が落ち着く

ダウンタイム中の経過は、概ね上記の表のようになりますが、個人差もあるため短くなることも長くなることもあります。ダウンタイムの過ごし方や注意点を理解しておくことで、効果を最大限に引き出しやすくなります。

水光注射×マイクロボトックスのダウンタイムの過ごし方

水光注射とマイクロボトックスの組み合わせで施術を受けた場合、ダウンタイム中はなるべく安静にすることをおすすめします。特に施術後24時間以内は、以下の行動は避けましょう。

  • 激しい運動
  • サウナや高温の入浴
  • 過度の飲酒
  • レチノールやハイドロキノンを含むクリームの使用

1週間以内は施術部位のマッサージ、激しい運動、飲酒なども控えましょう。上に挙げた行為や1週間以内は控えるべき行為はいずれも体を温める行為です。

体を温める行動は傷の回復を遅らせたり、ボトリヌストキシンが変性して効果が弱まったりする恐れがあります。施術後は皮膚に小さな針穴が開いているため、温めずに冷やすことで肌の回復を早め、長持ちさせる工夫が大切です。

水光注射×マイクロボトックスの注意点

水光注射とマイクロボトックスの組み合わせにはいくつかの注意点があります。まず、ボツリヌストキシンはタンパク質であるため、アレルギー反応を引き起こすリスクが考えられます。また、施術に使用される針は肌の表面を貫通するため、常在菌による感染の可能性もゼロではありません。

さらに、治療間隔を守らず短期間に施術を繰り返すと、体が抗体を作ります。その場合、次第にボトックスの効果が現れにくくなるため、施術間隔には気を配る必要があります。

水光注射×マイクロボトックスはこんな人におすすめ

水光注射とマイクロボトックスの組み合わせがおすすめな人は以下のとおりです。

  • 皮脂によるメイク崩れが気になる人
  • 肌トラブルを減らし、健やかな肌を目指したい人
  • 若々しい肌を保ちたい人
  • 1回の施術で効果を実感したい人
  • 目元の細かいシワや口元の小じわが気になる人

水光注射とマイクロボトックスの組み合わせは、肌の引き締めや小じわ対策をしたい方に適した施術といえます。異なる美容法を組み合わせていることから、1回で効果を実感する方も多い施術法です。しかし、繰り返し受けることで効果はより高まります。

まとめ

水光注射×マイクロボトックスは、肌に潤いとハリをもたらします。また、毛穴や小じわや皮脂分泌をコントロールすることで、より健康的で若々しい肌を維持できる美容医療の施術でもあります。

メリットとデメリットを正しく把握し、自分の肌状態に合った施術かを確認しましょう。そして、信頼できるクリニックでの施術を検討することをおすすめします。効果を実感できる水光注射×マイクロボトックスで、理想の肌に一歩近づいてください。

足立 真由美
この記事の監修者 医療法人 涼葵会 理事長 足立 真由美
美容医療の豊富な経験から美容医療の枠を超え、東洋医学・アーユルベーダ等のホリスティック医療を展開。「美は健康な身体から」をテーマに、美容クリニックとは思えない多彩なアプローチで、最新の美を提供する。
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