ふとした瞬間、自分の顔をみたときにほうれい線の存在感を感じることもあるのではないでしょうか。加齢によるハリやたるみなどが原因となり、ほうれい線は徐々に深く顔に刻まれていきます。ほうれい線を何とか薄く、目立たないようにする方法の1つがボトックス注射です。
ただ、ほうれい線の種類によっては、ボトックス注射では効果を感じないかもしれません。この記事では、ほうれい線へのボトックスの効果やリスク、ヒアルロン酸注入との違いについて詳しく解説していきます。ほうれい線のボトックス注射について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
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ほうれい線の種類
ほうれい線は、性別や年齢問わず誰にでもあります。しかし、加齢による肌のハリやたるみなどにより、ほうれい線がくっきりとしてくるでしょう。ほうれい線の種類は、大きく分けて4つあります。
・皮膚たるみ型
・骨くぼみ型
・筋肉型
・混合型
それぞれの特徴や原因について解説していきます。
皮膚たるみ型
皮膚たるみ型のほうれい線は、加齢に伴い肌の水分量が減ったり、顔面筋が筋力低下したりすることが原因で発生します。肌のハリや筋肉が低下すると、重力に逆らえず、徐々に頬の肉が下がってしまいます。
加齢だけでなく、スマートフォンを見ている時間が長い方のように、下を向く時間が長い方も注意が必要です。仰向けになって寝たときは、ほうれい線はあまり目立ちません。皮膚たるみ型は、肌の水分量を維持することが大切です。
骨くぼみ型
骨くぼみ型のほうれい線は、小鼻の周りの骨のくぼみが大きかったり、骨が細かったりすることが原因で発生します。他にも、丸顔の方や頬骨の位置が高い方、歯茎が出ている方もほうれい線が目立ちやすくなります。
骨くぼみ型は、20代頃の若い年代からほうれい線が目立っている方も多いです。仰向けになってもほとんど変わらず、噛み合わせや日常生活の見直しが大切になります。
筋肉型
筋肉型のほうれい線は、頬の周辺にある筋肉の緊張が強いことが原因です。笑顔のような表情を変えると、ハッキリとほうれい線が現れる方が当てはまります。仰向けで寝ても、ほうれい線がハッキリと目立っているのも特徴です。
顔の筋肉を鍛えるような運動は、できるだけ避けることがおすすめです。あまりに筋肉の緊張が強いと、笑ったときに歯茎がみえる「ガミースマイル」になっている方もいます。
混合型
混合型のほうれい線は、SBM(総合)型とも呼ばれ、肌の水分量の低下や骨格の問題、筋肉の衰えが原因で発生します。30代後半を超えると多くなり、複数の原因が重なって出現するのが特徴です。加えて、頬の脂肪が厚いと、脂肪の重さで更にほうれい線は悪化します。
肌の水分量を維持することはもちろん、頬の筋肉を鍛える必要があります。また、余分な脂肪が付かないように、体重管理も大切です。
ボトックスとは?
ボトックス注射は、ボツリヌス菌より抽出したタンパク質の一種を筋肉に注入する施術のことを指します。ボツリヌス菌は、筋肉の動きを押さえる働きがあり、筋肉の緊張を取ることが可能です。
ボトックス注射は、美容医療のメニューとしてさまざま種類が存在しています。もちろん、ほうれい線以外の部位へのボトックス注射の施術も可能です。ボトックスの効果は、以下のようなものが挙げられます。
・筋肉型のほうれい線の改善
・ガミースマイルの改善
・小鼻の膨らみの改善
・表情ジワの改善や予防
・エラ(咬筋)張りの改善
・肩こりの改善
他にも多汗症やワキガの改善、花粉症の治療としても活用されています。脚への施術も可能で、スポーツをしていた関係で筋肉が発達している方は、ボトックス注射で美脚効果も期待できます。
ほうれい線へのボトックスは効果ある?
ボトックス注射はさまざまな効果が得られますが、全てのほうれい線に効果があるわけではありません。ほうれい線の種類に合わせて、治療方法を選択することが必要です。ここでは、どのようなほうれい線に効果があるのかを解説していきます。
ボトックスでほうれい線を消し去ることはできない
先述したとおり、ボトックス注射では全てのほうれい線を消し去ることはできません。なぜなら、ボトックスは筋肉やシワにのみ効果を発揮するからです。また、ほうれい線は正確にはシワではありません。
ほうれい線は、笑うときのように、口角を上げたときに出る「溝」です。一方、シワは肌の水分量が低下し、肌の張りが失われ、たるみにより皮膚がよれたものです。肌の水分量を維持することで、シワを予防は予防できます。
シワや筋肉の緊張によるほうれい線には、ボトックス注射は効果的です。他の種類のほうれい線には十分な効果が期待できないため、他の治療法の併用を検討しましょう。
ほうれい線のタイプごとに適した治療をしないと効果がない
ボトックス注射では、全てのほうれい線を消し去ることはできないため、ほうれい線のタイプごとに適した治療が必要です。先述したほうれい線の4つのタイプごとに適した治療法をみていきましょう。
皮膚たるみ型 | ヒアルロン酸注入、スレッドリフト・ハッピーリフト、高周波・レーザー、イントラジェン |
骨くぼみ型 | ヒアルロン酸注入 |
筋肉型 | ボトックス注入、ヒアルロン酸注入 |
混合型 | ヒアルロン酸注入、高周波・レーザー、超音波 |
自分のほうれい線の種類がわからない方は、クリニックのカウンセリング時におすすめの治療法を聞いてみましょう。
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ボトックスでほうれい線への効果が期待できるケース
ボトックス注射では、しっかりと効果を感じられるほうれい線は限られています。では、どのような特徴があてはまると、ほうれい線へのボトックス注射の効果を期待できるのでしょうか。ほうれい線への効果が期待できるケースは、以下の2つのパターンです。
笑った際のほうれい線が気になる
1つ目のケースは、笑った際のほうれい線が気になる方です。筋肉型のほうれい線の場合、無表情よりも笑顔の際にほうれい線が目立ちます。そのため、笑った際にほうれい線が気になる方は、ボトックス注射で効果が期待できるでしょう。
また、筋肉型のうち、笑った際に歯茎が見えるような「ガミースマイル」の方にも効果的です。ガミースマイルに悩んでいる方は、ボトックス注射で改善できる可能性があります。ガミースマイルを治したい方も、ぜひボトックス注射を検討してみてください。
ほうれい線が左右対称になっていない
2つ目のケースは、ほうれい線が左右対称になっていない方です。日常的な噛み癖や噛み合わせの問題で、顔に左右差が出ている方もいるでしょう。ほうれい線にも左右差がある方は、ボトックス注射の効果を期待できます。
ほうれい線へのボトックス注射は、片方ずつで注入量を変えられます。ほうれい線を左右対称にすることで、バランスの取れた顔になるでしょう。ボトックスの注入量は、クリニックの医師に相談してみてください。
ボトックス注射とヒアルロン酸注入の違い
ほうれい線の種類によっては、ボトックス注射よりもヒアルロン酸注入の方が効果を期待できます。ボトックス注射が筋肉の緊張を取ることができる効果に対して、ヒアルロン酸の効果は以下のようなものが挙げられます。
・筋肉に関係なくできるシワの改善
・皮膚の張りの改善
ヒアルロン酸は体内にもともとある成分のため、ダウンタイムや副作用は少ない傾向にあります。ほうれい線以外にも目の下のくぼみやこめかみなど、ふっくらさせたい部位に注入可能です。鼻を高くしたい方や唇をぷっくりさせたい方にも使用されます。
ほうれい線にはボトックス注射とヒアルロン酸注入のどちらが効果的?
ほうれい線には、ボトックス注射やヒアルロン酸注入を分けて使用していきましょう。ボトックス注射が効果的なシワと、ヒアルロン酸注入が効果的なシワは以下の表の通りです。
ボトックスに効果的なシワ | ヒアルロン酸に効果的なシワ |
筋肉によるほうれい線 | たるみや加齢に伴う表情ジワ |
ガミースマイル | たるみや脂肪が原因のほうれい線 |
眉間や額のシワ | ゴルゴライン |
目尻のシワ | 口角のシワ |
加齢や脂肪に伴うほうれい線には、ヒアルロン酸が効果的です。ほうれい線を改善したいと考えている方は、基本的にヒアルロン酸を選択することがおすすめです。
ほうれい線へのボトックスのデメリット
ほうれい線へボトックス注射をする前に、デメリットを確認することも大切です。デメリットを知っておくことで、ボトックス注入後に慌てないように、心の準備をすることができます。それでは、3つのデメリットをみていきましょう。
ダウンタイム・副作用がある
ボトックス注射には、ダウンタイムや副作用がみられます。ボトックス注射は、筋肉の緊張を取ることで、ほうれい線やエラ張りを改善していきます。一方で、筋肉の動きが抑えられることにより、口回りの動かしにくさを感じることもあるでしょう。
また、針を刺した部位から内出血や腫れ、赤みが出現することがあります。症状は数日〜1週間ほどで治まるため、目立つ場合にはメイクでカバーすることがおすすめです。
効果は永久ではない
ボトックス注射の効果は永久的ではないことも、覚えておきましょう。個人差や使用する製剤によりますが、ボトックス注射の効果を感じられる期間の目安は約3〜4ヶ月です。そのため、定期的にクリニックへ受診し、施術を受ける必要があります。
当然のことですが、1回の受診や施術ごとに支払いが必要です。金銭的な余裕がなければ、継続的な施術は難しいといわざるを得ません。ボトックス注射だけに頼らず、日々のスキンケアやマッサージなど、ホームケアも欠かさず行っていきましょう。
ほうれい線が深くなってしまう
ほうれい線を改善するためのボトックス注射ですが、反対にほうれい線が深くなってしまう場合があります。ボトックスを注射したことにより、顔の下半分の筋肉が緩んでしまい、たるんだ印象になります。
ほうれい線周囲の筋肉は動きが抑えられているため、口角も満足に動かせません。ボトックスの効果を実感できるのは、ボトックス注射して3〜4週間ほど経過してからです。一時的な影響の可能性もありますが、気になる際は施術を受けたクリニックの医師に相談してみてください。
ボトックス注射の失敗症例・リスクは?
ボトックス注射の失敗例は、「笑えない」ことです。ボトックス注射には、筋肉の動きを抑える効果があり、笑うときに必要な筋肉まで抑えてしまうことがあります。そのため、引きつったような笑顔になってしまうことがあります。
ボトックスの注入量が多すぎたり、ボトックス注射を予定していた筋肉と違う筋肉に注射したりしたことが原因です。3〜4ヶ月後にはボトックス注射の効果は切れるため、同様に元のように笑えるでしょう。ボトックス注射の失敗やリスクを避けるためには、経験豊富な医師がいるクリニックを選択しましょう。
まとめ
ほうれい線へのボトックス注射は、ほうれい線のタイプが筋肉型であれば効果を期待できます。そのほかのほうれい線のタイプでは、ボトックス注射ではなく、ヒアルロン酸を注入する方が効果を期待できるでしょう。
ほうれい線のタイプがわからない方や、ほうれい線を改善したい方は、ぜひWクリニックに相談してみてください。
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Kaoru Matsui
Wクリニック福岡院院長
松井 郁
2001年 | 福岡大学医学部医学科 卒業 |
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2003年 | 福岡大学病院 |
2008年 | 独立行政法人九州がんセンター |
2009年 | 福岡医科歯科大学病院 |
2010年 | 福岡大学筑紫病院 |
2013年 | 医療法人 天翠会 小倉きふね病院 |
2021年 | Wクリニック 勤務 |
日本美容外科学会所属